六塚光『タマラセ 幼馴染はドラゴンを喚ぶ』

読んでみた。長編の感想は不得手なので手短に。


隕石なんか絶対ッ落とさせない!
魂裸醒の指導者・亘理の陰謀に立ちふさがった三助と夏月は!?
亘理の狙いは、隕石をまねく魂裸醒「レッド:ドラゴン」の発動実験と同時に、後天性魂裸醒を全滅させることだった!陰謀を阻止すべく、九里浜探偵局(仮)は確執を超えて八阪井三十四たちと手を組むことに。とはいえ、レッド・ドラゴンの発動でほとんどの魂裸醒が能力を発揮できない―そんな状況下、過醒が進む三助は、戦えば我を忘れて暴走するにもかかわらず、夏月と共に戦いの先陣に立とうとする!圧巻のクライマックス!!


遂に完結ですよ。無駄に長かったような気もします。
ストーリー構成について何も特筆することがないので批評し難いのですが、とりあえず私的感覚でだらだらと。
あらすじから察せられる通りこのシリーズは異能を扱う話にカテゴリされます。
この作品の魅力と云うのですか、他作品で扱われるような超能力や魔術的霊的なモノとは一線を画し、多彩な能力の登場などが惹かれた理由ですかね。ただ、千差万別の能力によってご都合主義的なストーリー展開になるのは必然で、最終巻であるこの巻などは見苦しい点も幾つか見受けられました。
また、このシリーズはシリアスな展開といったものが圧倒的に少なく、無駄口によって良い雰囲気が壊されることは多数に及びます。なんというかですね、作者さんと私のツボにズレがあるのは間違いないのです。笑いの沸点が違うといったわけです。まぁこの辺は読者を選ぶということです。
そして、初刊から薄々感じていたことなのですが、どうも私には日向悠二氏のイラストが合わないようです。むしろキャラの言動やらと合致していないなぁ、と。無論、この点も読者を選びますね。日向氏の絵柄は特徴的、独特なもので、偶然私の嗜好に当てはまらなかっただけなので批評としては関係ないことですがね。
個人的に感じたことなのですが、六塚氏の文体は真っ直ぐとした印象を受けます。裏返した言い方をしてしまうと、遠回しな文章でなく単純な思考の基に成り立っているんじゃないか、なんて失礼な幻想を抱いてしまいます。まぁどちらかと云えば誉め言葉に近いです。
そういえば初刊の頃はラブコメ要素がどうと言っていたようですが今となってはそんな幻想は微塵も見当たらないような気もします。
最後の締めは個人的に良かったですよ。ありがち在り来たりなものでしたが、直球で攻められたものですから感慨深く残ってしまいました。読者の共感対象である主人公、三助のハーレムが完成したのは喜ぶべきことなのでしょう。思わず一花の言動にグっときてしまったのは秘密です。
とりあえず点数付け。100点満点中、60点程。もう少し高くても良いのだけど私の中の何かが直感的に制止したのです。
購入するまでもなく、借りて済ましたいぐらいの作品でした。
この辺を書いてるぐらいに名残惜しくなってきたのはきっと気のせいです。