杉井光『火目の巫女』

火目の巫女 (電撃文庫)

火目の巫女 (電撃文庫)

読んでみた。感想。
その国は、“化生” と呼ばれる異形の怪物に脅かされていた。
化生に対抗できるのは、「火渡」 という弓を預かるただひとりの “火目” だけ。
火目を目指すものたちが集う、宮中の火垂宛──。
そこには “御明かし” と呼ばれる三人の火目候補、化生に村を焼かれた伊月、どこか謎めいた盲目の佳乃、無邪気で才能溢れる常和がいた。
化生との遭遇と戦い、火垂宛からの脱走。
三人はさまざまな苦難を経験し、時に諍い、時に助け合いながら絆を深めていく。
そんな折、化生の勢力が増し、当代の火目の衰えが囁かれるようになった。
そして伊月は、御明かしと化生の奇妙な共通点を見つけるが……。
第12回 電撃小説大賞<銀賞>受賞作
“化生” を討つ巫女の戦いを描く、和風ファンタジー
タイトル通り、巫女さんが絡んできます。巫女さんが活躍します。巫女s(ry
舞台は日本、少し昔ぐらいの、漢字の羅列が多く見られる時代です(ぇ
内容は三人の"火目"候補――"御明かし"と呼ばれる特殊な能力を備えた少女たちの繰り広げる物語です。
時代柄及び主人公たちの立場が複雑なもので、やはり見たこともないような漢字の羅列が数回ほど。弓道に関しての単語や物の名称等がわからなくて辞書引きを数回したりしました。
物語は三人の娘の中、伊月視点で進行していきます。
特徴的なのが主用人物に男性が少ないことですかね。"火垂苑"という男子禁制の花園でストーリが展開していくので当然ですが、やはり良いものです。
また、三人の娘の生い立ちや個性が物語りを引き立てます。なんといっても伊月や佳乃の振る舞いが素晴らしいです。女子おなごの戯れほど惚れ惚れするものはありません。
技術的にも申し分ないと思います。スッキリとした文体が読みやすく、好ましいです。
点数付けしますと、100点満点中、100点を差し上げてもよろしいと思います。個人的に好める作品でした。

作中の「鳴箭ありッ」の唱和に極めて惹かれました。なんか響きが良いです。思わず叫んでしまいそうです。
蛇足ですが、この作品で私は巫女さん属性持ちなのだと再確認しました。
怪物に立ち向かう巫女と聞いて、触手ものかと思った私は末期かと思いました。

それはそうと続巻が出るらしいですね。
杉井光氏のホームページ
あの話は一冊では完結できませんでした。
わざわざ太字で解説するくらいです。続編が楽しみです。

杉井光氏のサイト
かわぎしけいたろう氏のサイト