高橋弥七郎『灼眼のシャナ XII』

灼眼のシャナ〈12〉 (電撃文庫)

灼眼のシャナ〈12〉 (電撃文庫)

読了。感想綴るかな。
悠二、あなたは誰にもわたさない──。
"日常の中の非日常"──御崎高校では、年に一度の学園祭『清秋祭』が開かれていた。
「悠二!!」
その一日目、最大のイベント『ベスト仮装賞』発表の舞台上。
「私、悠二が──」
シャナは、自分の『どうしようもない気持ち』を、一人の少年へ向けて伝えようとして──
一陣の風によって防がれた。
(あった)
遠くから、一人の"紅世ぐぜの王"が、
(もう二度と、離さない)
遂に捉えた愛しい人の許へと飛ぶ。
(待ってて、ヨーハン)
その風の色は琥珀。“約束の二人”の片割れ、“彩飄さいひょう”フィレス顕現の証だった──!
悠二の"零時迷子"の中に封印されているヨーハンを取り戻そうとするフィレス。
一方、悠二は己の存在を消される恐怖を感じて……。

今作に関しては文句なし。凄いの一言。
王の襲撃から学園祭の終演までを描いたストーリーですが、前半は息もつかせないほどの展開を拡げ、中盤から後半までゆったり非日常を綴った作品構成です。
特にたるいといったストーリー進行ではなく、物語の展開はそれなりに早く、テンポ良く読めます。
また、今作はいつもの雰囲気と異った展開が楽しめます。以前までは敵の出現から討滅まで緊張感溢れる壮絶なデットヒートを繰り広げていたわけですが、この回では停戦協定、いわゆる一時休戦という形をとり、解決まで徒との共存を謀ります。
その共存する過程が素晴らしいのです。はい。
特に登場人物らの心の葛藤の描写が多く含まれ、萌え転がること数回。
前巻で吹っ切れたシャナや、非日常に踏み込む決断をする吉田さん、今編の敵である"彩瓢"フィレスの感情の吐露など多くの人物の見せ場が見られます。
そして、このシリーズの醍醐味である、様々な伏線や思わず声を挙げるような驚愕する事実。ラストでの続巻を期待させるような展開が素晴らしいです。
シャナの"うるさい"も今だ健在です。続巻に多大なる期待が募ります。
点数付けです。100点満点中、100点です。文句のつけようがありません。
なんというか、フィレスの言動やら何から何まで素晴らしいです。