水瀬葉月『ぼくと魔女式アポカリプス』

ぼくと魔女式アポカリプス (電撃文庫)

ぼくと魔女式アポカリプス (電撃文庫)

読了ー。評価させていただきます。
自傷と微笑。 哀しい魔女の終わりの方式――。
これは、ぼくと彼女の前に突然現れた、ひとつの大きな 「連鎖」 の話だ。
少女の告白という何の変哲もない 「普通」 から生まれる、無意味な 「特別」 の連鎖――。
滅びた魔術種たち。 種の復活を賭けて行われる、人間を代役とした争い。
それらの存在を知ったぼくの横で、魔女種族の代替魔術師となった彼女は戦う。
そして戦うために行い続ける。
哀しい微笑で、哀しい自傷を。

「普通」 と 「特別」 が混濁し、ぼくたちの眼前に残ったのは、ただ無慈悲な――。
第10回 電撃ゲーム小説大賞<選考委員奨励賞>受賞者が贈る学園バトルファンジー
電撃HPより抜粋)
学園異能、主人公饒舌系の作品ですね。現代ファンタジーと良くできた評判に惹かれて購入してみました。
――はい、評判通り素晴らしい作品でした。
内容は、学園生活を舞台においた少年少女らが人外の力を借りて他の人外をブッ殺そうというもので、ラノベにはありがちなジャンルですね。あらすじから混沌と化していたので解説するとそんなところ。
更に作中から掻い摘んで説明すると、ある特別な条件下に置かれた人間が人外に目をつけられ、半強制的に自分と同様な状況に置かれた人間から力を奪って生きろ、という椅子取りゲームを描いた、特殊な設定で進行する内容ですね。
一言で申せば魔術という世の事象を捻じ曲げる力で敵から魔力を奪取するのが、この作品の目的コンセプトで、その設定中に含まれた複雑怪奇な異能がこの作品の魅力ですね。
何度も言うようであれですが、この作品の設定ルールが他の作品と一線を引く理由ですね。この凝ったような世界観が読者を魅了します。
また、登場人物の個性が更に魅力を引き出しています。上記にも記したように主人公饒舌系であったり、キャラごとの絶妙な立場であったり。サブキャラにもそれなりにスポットが当てられており良い感じ。まぁそれは主用人物が少ないからなのだけど。そして、狙ったような言動が良さげ。見事にツボを刺激しました。
あと、先の展開が読めない作品ですね。伏線の数が半端じゃねぇぜ、みたいな。作者の考えてることが全くわかりませんでした。何杯食わされたことか。
点数付けします。100点満点中、100点です。文句なしの満点を。複雑な文体や狂ったような描写が多々含まれ読者を選ぶ作品ですが、私はこういった作品は好みなので良かったです。
あとがきから見て、続編は出るかわからないとのこと。設定上続けやすい作品なのだけど今作で登場人物の位置がボロボロになってるから上手く続けられるかが心配。って結界師のフーガて未完だった気がするのだけどそちらはどうなのかな。
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